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鈴江俊郎 戯曲
あおく見えるのは空と
病室に、夫と妻がいる。
妻は双眼鏡で向かいの棟の病室を覗いているのか、じっとして動かない。
不思議だ。
そこにいる妻が、塑像に変わったようにしか思えない。
夫は足の複雑骨折で短期入院中。
気楽な休養のようなものなのだが、この非日常の時間に二人が見つめているのはお互いの奇妙な距離だ。
愛している。一緒にいたい。けれど一緒にいてもさみしい。
そんな感情はどうしたらいいものか、退院の日は幸せな感情に満たされるのだろうか。
二人は静かに笑いたい。
そう願っている。
1995年4月 二人の桟敷席公演
80分
2人(男1・女1)
…戯曲集「あおく見えるのは空と」掲載
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