鈴江俊郎 戯曲
髪をかきあげる
畳の部屋、ガラステーブルの上に恋人が立っている。
馬の真似をしている。
トモヨは恋人を追い返す。
勝手に門限を決めて、一人になる時間を作っているのだ。
そのくせ一人になると「どうして帰るんだバカ」と呟くような孤独な心持ちがやってくる。
そんなトモヨに新しく強烈な恋が訪れた。
職場の先輩。
妻との孤絶に苦しむ先輩はトモヨに問い掛けた。
「心に空洞があるでしょ。」
そして「髪がかきあげられるくらいになったらもっと素敵だなあ」
反発しながらも髪を気にするようになってしまうトモヨ。
彼女の出会う人たちはどうしてこうも淋しいのか。
淋しさに悶えて夜の川をさまよう蛍みたいな現代人たちの心象はトモヨにちっとも希望を与えない。
1995年8月 劇団八時半公演
第40回岸田國士戯曲賞受賞
90分
7人(男4・女3)
…LEAF1号掲載。
…戯曲集「髪をかきあげる」(白水社)掲載
●同作品の英語版「Fireflies」…「Half A Century Of Japanese Theater1990's」 (紀伊国屋)掲載)
●同作品のロシア語版「Конский хвост」
「СОВРЕМЕННАЯ ЯПОНСКАЯ ДРАМАТУРГИЯ 1(現代日本戯曲集1)」に掲載
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