top of page

鈴江俊郎 戯曲

彼氏のそこぢから

 

近松門左衛門「冥途の飛脚」にインスピレーションを得て描いた現代人像。

高速道路のパーキングエリア。雪。
三組の悩める人間たちが、スリップ事故のために足止めされたひとときを所在なく過ごす。 
だらしない男と三人の女たちが、墓参りに行こうとしている。
男の妻と、恋人、そしてさらに新しくできた恋人。


男はまじめに、三人を愛している、という。
そして悩んでいるという。
銀行員二人は大学時代の先輩後輩関係だ。
二人だけで語り合うための山の家を建てた仲だ。
結婚して先輩は変わった。
遠く宇宙を、歴史を、人間を語る人生を望んでいたのに、子育て、お受験、家族の生活設計、
……今、生活費を補うために穴埋めするために顧客の金に手をつけ、
後輩は自首を勧めるのにそれを受け入れられない。
レストランで働く女性。
彼女にほれて休憩に立ち寄るトラックの運転手。
好意に気づいてもらえないまま、身体を壊してしまった運転手は田舎に帰ることになった。
今日は最後だ。
挨拶に来たのだ。


三組の人間たちは悩んでいる。

事故の処理は間もなく済み、ここから出発できる時間が来ているのに彼らはここから動けない。
動こうとしないのだ。

2005年3月 近松劇場PART19メイシアタープロデュース公演
75分
8人(男4・女4)

※注文後の確認メールが届かないお客様へ【必ずお読みください】

特に「~@yahoo.co.jp」「~@hotmail.com」、携帯電話からのメールアドレスをご利用のお客様へ

bottom of page