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鈴江俊郎 戯曲
風と黙ってすわってて
事業を起こしては失敗し夜逃げし、を繰り返す兄がいつものように妹のマンションに転がり込んでいる。
妹はいつもなにも言わないで受け容れる。
そこへ妹の友・山形が恋愛相談に来る。
変人で嫌われ者の山形との噛みあわない会話にいちばん困っているのは実は当の本人・山形なのかもしれない。
激高した山形の残していった罵声は妹の心を傷つけた。
妹は幼い頃から兄を慕って慕って、それは人の手触りを確認できない妹の不安の裏返しとも言えるのだ。
兄は去ろうとする。
あえて卒業するために。
卒業するために人が必要とするのは風なのかもしれない。
黙って座っていてくれる風さえそこにあれば、人は確かめられるのだろう。
人の気配を。
1998年8月 劇団八時半公演
70分
3人(男1・女2)
…LEAF8号掲載
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