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鈴江俊郎 戯曲

零れる果実

 

英子は姿を消した。
英子のいない部屋に恋人、姉、

そしてお互いの部屋の区別もなく過ごしていた下宿の仲間が奇妙にひとときの時間を過ごす。
皆が皆、英子のことを考えている。
食べては吐いていた英子。
吐くという行為はなにか陽気な建設的な匂いがする、そう思いたがる奴がいる。
死んではいないと信じたがる奴がいる。
皆が皆「ここにいてもいいんだよ」と許されたい、そういう不思議な気配をこの部屋からもらいたがっている。
部屋はなにも語りはしないのに。

1994年11月 KTカムパニー公演

第2回シアターコクーン戯曲賞受賞
100分
8人(男4・女4)


…八時半通信7号掲載
…雑誌「せりふの時代」1996年秋号掲載 

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