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鈴江俊郎 戯曲
七分の一の秘訣
美恵は男にふられた。ガス自殺しようとした。
死ねなかった。
何がどうしたのか、自分が悪かったのか、もう判断もつかない。
男は完全な説明をしてくれた。
でも私がほしいのは説明じゃなかったのに。
慰めあうような傷つけあうような下宿の隣人がいて、その人も彼女にふられたみたいだった。
ふられた者同士で話しても、話しても、結局はなにもならない。
なにもならないのはわかっているのに、私は話したいのだ。
心の七分の一だけでしか人は泣けない、という。
七分の六ではただぼんやりと自分を眺めたりするだけだ、という。
本当にそうなのか、私は自分を見つめてみる。
七分の一泣きながら、六で見つめている。
今日も。明日も。
1996年6月 劇団八時半公演
60分
5人(男3・女2)
…LEAF3号掲載
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