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鈴江俊郎 戯曲

天にのぼりたいとふとおもい

 

幽霊が出た。35歳のおっさんの幽霊だ。昔死んだ僕の友達だという。
覚えてない。こんなおっさんの知り合いはいない。
彼は11歳のときに死んでから、僕と一緒に歳を重ねてきたのだという。
じっと見てた。僕のことを。知らなかった。

じゃいまさらどうしてそれを言いに来たの?
彼はわかってほしい、という。

わかりあいたいのだ、という。
僕と。彼の死んだ事情のことを。
いや困った。まことに困った。
そんな夜。幽霊のささやきはどうにも笑えちゃうくらいに切ない。 

2008年3月「火曜日のシュウイチ」坂口修一氏の一人芝居への書き下ろし 
30分 
1人(男1)

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