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鈴江俊郎 戯曲

純喫茶マツモト  ~ジン派 あの雲までもうちょっと篇

 

小さな喫茶店に集う若者たちの悲喜こもごもをコント仕立てで描く。
開店して十年の純喫茶マツモト。
開店当時の苦労の甲斐あってか、店の経営はすっかり順調になったようだ。
一時期どんな手を使っても経営難だったマスターは開き直って自分の個人的な趣味をこの空間に持ち込んでしまったらこれがヒット。
いまや埴輪を語り合うならあのお店、とその手の趣味の人のメッカになってしまった。
マスターは今日も不在。
新しい遺跡の見学会に常連さんと出かけたのだ。
マスターの娘もすっかり大きくなった。
幼い頃から店を二代目に継がせたがる父から逃れたい、とあえぐ娘はなんとか仲間と別の店を出そうと相談している。
近所の大学生には人気のないスポットだが、マイナー演劇部の四年生にはいつもの打ち合わせ場所。卒業公演を前に悩んでいる。
笑顔の作れない健康食品営業マンたちは今日も笑顔の稽古中。
会社の登社拒否になってしまったお隣のご主人、奥さんと息抜きはこの場所くらいしかない。
マイナーな香り高いマツモト、しかしそろそろ変革のときを迎えている予感がする。

2004年9月 アイホール演劇ファクトリー第8回生公演
150分
10人(男2・女8)

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